W 7



Wallfisch, Elizabeth (1997)
Wanami Takayoshi 和波孝禧 (1992)
Watanabe Reiko 渡辺玲子 (2001)
White, Christopher (1999)
Widjaja, Iskandar (2011)
Wilkomirska, Wanda (1969)
Windt, Paul (1998)
 
 

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J.S.BACH: chaconne



Wallfisch, Elizabeth
エリザベス・ウォルフィッシュ

BWV.1001-1006
P1997
chaconne=12:15
(hyperion dyad CDD22009 CD-UK)



 ピリオド楽器礼賛ではないが、これは個人的に好きな演奏。
 街外れの洋館でひっそり弾かれているようなおどろおどろしいムードがよろしい。
 ときおり、他の弦に触ったときのものか、妙な、情けない音が聞こえたりするのはどういうものかはわからないけれども、とにかくそれがまた人間らしくもあり、愉快である。
 また、ここでのウォルフィッシュのヴァイオリンは、まさしく木の音がしている。楽器から音が染み出すような感じがある。彼女は、そんな楽器の特質を最優先させており、きわめて自然体なのだ。

 録音良。残響豊か。ディスクには、上記のようなウォルフィッシュの演奏が理想的に収録されている。


 ★★★★☆




Wanami Takayoshi
和波孝禧

BWV.1001-1006
1992
chaconne=15:33
(ART UNION RECORDS ART-3028&3032 CD-JAPAN)



 まことに気合いが乗っている。それでいて、ほどよく抑制を効かせた演奏だ。
 技巧はまずまず問題ないものの、微妙なたどたどしさが感じられる。ただ、それが不思議な表情となっており、マイナスになっていない。
 演奏家の気魄が全編ににじみわたっているような好演。

 録音は1992年にすればふつう。残響過剰気味。

 和波孝禧は2度、全曲をレコーディングしている。これは1回目のもの。あたらしいほうは未聴だが、かなり期待してよさそうだ。


 ★★★★




Watanabe Reiko
渡辺玲子

BWV 1004 [c/w BWV 1001, 1005]
Dec, 2000 & Feb, 2001
埼玉県・秩父ミューズパーク音楽堂
chaconne=13:52
(TELDEC WPCS-1110 CD-JAPAN)
*instrument: Stradivari "Engleman"(1709)



 渡辺玲子は好きな提琴家で、何度か実演を聴いている。
 超絶的な技巧と、危険を恐れない攻撃的なスタイルで、楽曲の深層を穿ち、聴き手を魅了する。

 バッハの無伴奏3曲入りのアルバム。
 しなやかな音色とキレのよさ、疾走感が魅力だ。
 文句なしにすばらしい演奏だが、彼女の実力100%とは言いきれない気もする。

 録音はさほどよくない。高域寄りなので耳が疲れる(※使っているイヤフォンのせいかもしれない)。残響やや過剰。

 1709年ストラディヴァリ作「エングルマン」使用。


 ★★★★




White, Christopher
クリストファー・ホワイト

BWV 1004
May, 1999
St. Dunstan's Church, Stepney, London
chaconne=13:41
(MELISMA PRODUCTIONS -un-numbered- CD-USA?)
*private issue? 




Widjaja, Iskandar
イスカンダル・ウィジャヤ

Chaconne
Mar, 2011
chaconne=15:38
( OEHMS OC 822 CD-GERMANY )



 シャコンヌ単独演奏。
 気魄は伝わってくるが、テンポの動かし方がわざとらしく、不自然であり、計算を感じる。ちょっとやりすぎか。

 録音優秀。

 イスカンダル・ウィジャヤは、1986年ベルリン生まれ。


 ★★☆




Wilkomirska, Wanda
ワンダ・ヴィルコミルスカ

BWV 1004 [c/w BWV 1001]
around 1969
chaconne=15:51
(Connoisseur Society CD-4069 CD-JAPAN)



 軽やかさがなんとも魅力的だ。女性らしい柔軟性、気品がある。急がず、荒らげず、ほどをわきまえた演奏。技巧も確かで、安心して聴いていられる。
 しかし、シャコンヌも中盤にさしかかるとしだいに熱を帯びてくる。このあたり、まことにドラマティックであり、すばらしい。

 高音質で知られたコニサーソサエティ原盤だが、終始バックグラウンド・ノイズのようなものが聞こえており、気になる。楽器は若干マイク寄りか。豊かな残響が、空間の広がりを感じさせている。
 また、奏者が動くのか、音像が左右に揺れることがしばしばある。
 1969年ごろの録音であり、オリジナルはLP。復刻CDとの音の差は、かなりはっきりしており、LPのほうが鮮明で、臨場感も上だ。その後、あたらしい復刻CDが出たようだが未聴。どの程度改善されたのかは不明である。

 ワンダ・ヴィルコミルスカ(ウィウコミルスカ、ウィルコミルスカ)は1929年ポーランド生まれ。コニサーソサエティへは、ほかにもすばらしい演奏録音を残している。


 ★★★★☆




Windt, Paul
ポール・ヴィント

BWV.1004 [c/w BWV 1005]
P1998
Pennsylvania, USA
chaconne=15:27
(BEARSWAMP STUDIOS CD#PW-0998 CD-USA)



 ポール(パウル)・ヴィントによる無伴奏アルバム。自主制作盤か。

 いきなり、野太い、どこかカブトムシを連想させるような力感あふれるヴァイオリンが聞こえてくる。
 優雅さや淑やかさとはまるで無縁。まさに男の演奏である。それでいながら、荒さも粗さもないところに、ヴィントの芸術性が感じられる。テクニックも文句のないレヴェル。
 ほかに、バッハの第3ソナタ、イザイの第3ソナタ、ミルシテインの『パガニーニアーナ』が収録されており、いずれにも同様のことが言える。完成度のきわめて高い、すぐれたアルバムだ。

 解説によると、この録音にはちょっと聞かないめずらしい細工が施してある。
 まず、ペンシルバニアのスタジオにて録音。さらにこれを、同じペンシルバニア州にあるロック・リッジ公園というところに保存されている古い鋳造炉?にて再生、そこで発生した残響もろとも録音して完成させたということである。つまり、このヴァイオリン演奏部分は録音の録音というわけであるな。聴いていても、その残響がやや過剰かと思える程度で、鑑賞上、違和感は覚えない。音源が一点である無伴奏ゆえであろう。オケもので同じことをやれば、なにがなにやらわからぬことになったかもしれない。

 ヴィントはピッツバーグ生まれ。生年などについては不明。
 出身地ピッツバーグでヴァイオリンを始め、最初ミヒャエル・ストラレフスキー(Mihail Storalevsky)という人から習った。その後、オーマンディとスターンの推挙により、カーティス音楽院に入学。そこでヤッシャ・ブロドスキー(Jascha Brodsky)とエフレム・ジンバリストに師事――とブックレットに記載。
 このアルバムは、これら3人の教師に捧げられている。

 Helmuth Keller ( Philadelphia ) という人による1980年製のヴァイオリンを使用。使用弓はPaul Serdet ( Paris ) の1900年製の由。


 ★★★★



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